何事も諦めが肝心です |
「昌浩や、ちとこちらに来なさい」 「なに?じいさま」 祖父に手招きされて近づいてきた昌浩は、不思議そうに首を傾げている。 晴明はそんな昌浩に笑みを零すが、すっと表情を真面目なものへと直すと神妙な態度で話し出した。 「実はな、これから数日紅蓮はじい様の頼みごとでこの邸を空けないといけないことになったのじゃよ・・・・・」 「えーっ!ぐれん、でかけるの!?」 昌浩は晴明の言葉に物凄く嫌そうな顔を作って文句を言った。 何せ、昌浩と一番仲のいい神将は言わずもがな紅蓮である。他の神将達とは紅蓮のいない間に会うくらいで、さして親しいとはいえない。精々顔見知り程度である。 故に、その大好きな紅蓮が数日間とはいえ会えなくなるのだ、文句の一つや二つは言いたくなるだろう。 徐々に機嫌を降下させていく昌浩に、晴明はまぁ待ちなさいと声を掛けた。 「何も拗ねることはないじゃろうて。紅蓮のいないこの数日間は、他の神将と仲良くなる絶好の機会だと思えば良いのじゃよ」 「ぐれんいがいのしんしょうと・・・・?」 「そうじゃよ。紅蓮がいない代わりに、お前にはこやつがついてくれることになった。・・・・・宵藍」 晴明が背後へちらりと視線を投げると、そこに青色の色彩を纏った神将が姿を顕した。 そう、言わずもがな十二神将・青龍である。 昌浩は初めて会う神将を目をぱちくりさせながら見遣る。 晴明は紹介を続けた。 「こやつは十二神将・青龍。紅蓮がおらぬ数日間はこやつが昌浩の傍についておるからな、仲良くしなさい」 「はーい!えっと・・・よろしくね、せいりゅう」 「・・・・・・・・」 昌浩は取り敢えず新たに出会った神将に挨拶をするが、肝心の青龍はちらりと一瞥しただけで何も言い返さなかった。 (おはなしするの、きらいなのかな・・・・・?) 昌浩はそんな青龍を見てそう思ったが、別に何かをされた訳でもないので特に気にすることはなかった。 晴明はそんな二人を見比べて、内心で不安そうな溜息を零すのであった。 こうして、昌浩と青龍の初対面の場は終了した―――――――。 * * * 青龍はここ近年稀に見ないほどに不機嫌であった。 それはもう、常に寄せられている彼の眉間の皺が三割り増しに深く刻み込まれているくらいには。 その不機嫌な理由というのが、今目の前で書物を広げて熱心に読み耽っている子どもであった。 彼はここ数日、主の命でこの子どもにつくように言われた。 何でこの自分がと、不満たらたらで仕方ない。大体にして子どもの相手ならもっと適任の神将達がいるのに・・・・・例えば天一とか(副菜として朱雀がついてくる)、六合とか、天后とか、同じ子どもの容姿をした太陰や玄武でもいいだろう。 間違っても自分には回ってくるはずのない役目である。何せ自分は仲間内では子守に向いていない神将の一、二位を争っているくらいだ(面と言われなくても自覚くらいはある)、絶対にこの采配は間違っている。 同じ一、二位を争っている相手として騰蛇がいたのだが、それもここ近年ではそうとも言えなくなっている。何故なら、この目の前の子どもの子守は『あの』騰蛇が自主的にやっているのだから。(この話を初め聞いた時、何か悪いものでも食べたのだろうかと本気で疑った) とにかく、明らかに不向きな仕事を押し付けられて苛つきが募っていくばかりだ、そしてここ数日でそれに頭痛も付け加えられた。その理由は――― 「ねぇねぇ、せいりゅう。このじはなんてよむの?」 今まで書物を読むことに没頭していた子どもが、その書物―――陰陽術の書かれているそれを青龍の方へと差し出してきて聞いてきたのであった。 そう、『陰陽術』御伽草子や絵巻物でもなくて『陰陽術』・・・・・・。間違ってる。絶対に間違っている。 齢数えで四つの子どもが読むものではない。晴明はそんなにこの子どもを陰陽師にさせたいのか、いやさせるのであろう。何せ物語集の代わりにこんなものを読ませているくらいだ、彼の頭の中では最早決定事項なのであろう。 昨日など、半紙と硯と筆を取り出したかと思うと、書物に載っていた符について真似て書いていた。しかも巧い・・・・・。 いまだに普通の字も満足に書けていないのに、模写の腕だけあって一体どうするのだ。更に言ってしまえば、出来上がった札はちゃんと使えるものになっている。その意味も碌に理解していないだろうに、なんて末恐ろしい・・・・・。あれか、晴明の血を引いていれば皆常識外れが許されるのだろうか?許されるんだな?! 最近、常識について改めて考え直させられる。そもそも、神であるこの身がどうして人間の常識について論議しなくてはいけないのだろうか。あれだ、全ての元凶は彼の主にある。 ずきずきと痛みを訴えてくるこめかみに手を当てつつ、青龍は子どもの問いに完結に答えた。 「急々如律令(きゅうきゅうじょりつりょう)だ・・・・・・」 「ふーん?きゅうきゅう、じょりつりょう・・・か、うん!ありがとう!!」 「・・・・・・ふん」 にっこりと笑みを返してくる子どもに、青龍は機嫌悪げに鼻息をついた。 子どもにお礼を言われて満更でもなさそに見えるのは気のせいだろうか・・・・? 彼も子どもの質問に答えているあたり、破天荒な主とその孫に感化されているのかもしれない。 そして子どもはまた書物へと視線を落とす。 青龍はそれを確認した後、深い吐息を吐いた。 それもこれも数日前に行われたあの遣り取りが原因だ。 忌々しげに青龍は過去の情景に意識を飛ばした。 そう、それは騰蛇が邸を空ける前夜の出来事であった―――――。 「はぁっ?俺に吉野に行って来い?!!」 すっとんきょうな声を上げたのは、十二神将中一、二を争うほどに似つかわしくない神将であった。 声を上げた神将―――紅蓮は、胡乱げに晴明を睨んだ。 「なんでまた俺が・・・・・他に手の空いた奴らがいるだろう?」 「仕方が無いじゃろう?占いでお主が行くのが一番妥当だと結果が出たのじゃから。でなくば昌浩を見て貰っているお主に頼んだりせんよ」 「・・・・・・・・わかった」 苦笑を零す晴明にそれ以上追及することができずに、紅蓮は渋面顔でしぶしぶ吉野行きを承諾した。 用件が終わり、さっさと退室していった紅蓮を見送った晴明は、紅蓮が留守の間昌浩に誰をつけようかと思案した。 「晴明様、私が昌浩様につきましょうか?」 その場に顕現した天一が、自ら申し出る。 「お前のお気に入りの末の孫か・・・・何だったら私が見てやろうか?」 一体何の気まぐれか、同じ様に顕現した勾陳も、天一同様に申し出る。その際、面白そうだから共に面倒を見ないか?と柱に背を預けていた六合に声を掛ける。 声を掛けられた六合は、晴明がそう命じれば・・・・とだけ返した。 そんな中、元気一杯な子ども特有の声も割り入ってくる。 「なになに?晴明、末孫に誰をつけるのか考えてるの??」 「何だ太陰、お前も興味があるのか?」 「うっ・・・・だ、だって近くで見ようと思っても、いっつも騰蛇が傍にいるじゃない!こんな時でもないと間近で見る機会なんてないでしょう?」 「ふっ・・・・、確かにな」 別段、勾陳にとっては騰蛇がいようといまいとさしたる問題はないのだが、この幼い風貌の神将にとっては大問題なのだろう。 仲間内でも特に騰蛇に苦手意識を感じているのがこの太陰だ、鬼のいぬ間に・・・・というやつであろう。 そんな中、先ほどから思案顔をしていた晴明が何かを思いついたように顔を上げた。 その晴明の顔を見て、太陰あたりが思わず後退りをしている。 何か企んでいる。あの顔は絶対に企んでいる!!と、本能の部分が告げていた。 晴明はにんまりと笑みを浮かべたまま(正直怖い)、その口を開いた。 「宵藍・・・・・・・・」 「断る」 己の名を呼んだ晴明に、何かを告げられる前から青龍は間髪いれずに返答を返した。 そんな青龍に、晴明はじと目で見据えてくる。 「なんじゃ、まだ何も言ってなかろうに・・・・・・」 「言われずとも察せられる」 「じゃったら・・・・・「だから断ると言った。子どもの子守なんぞだれがするか」 有無を言わせない青龍の返答に、晴明は拗ねたように唇の先を尖らせる。 しかし、しばらくの逡巡の後に、何かを決心したように改めて青龍の目を見返してきた。 その目を見てまずいと青龍が思った時には、すでに晴明は言葉を発していた。 「ならば命令じゃ。十二神将青龍、我が末孫に紅蓮が戻って来るまでの間ついていよ」 「・・・・おい、普段はお願いで終わらせるくせに、どうしてこうどうでもいいようなことで命令する」 「命令じゃ。わしはこの命を覆すつもりはないぞ?」 ばちばちと、晴明と青龍の間の空間に火花が飛び散る。 そんな様を、勾陳と六合は面白そうに見、天一は心配そうに見、そして太陰は恐々と見ていた。 しばしの間無言の時が流れる。 そうしたのち、青龍が一際大きな舌打ちをするとその視線を逸らした。 「・・・・・・・・・・・・・後で覚えていろ」 低く、それはも低〜い声でそう吐き捨てると、青龍はその姿を消した。 晴明は青龍の立っていた空間を見遣りながら、「ふっ、勝ったわい」と誇らしげに笑った。 神将達はそんな晴明を見て、ちょっぴり青龍を不憫に思った。 このような遣り取りの末、青龍は晴明の命令(とかいて脅しと読む)の下に昌浩の面倒を見ることになったのである。今思い出しただけでもふつふつと怒りがこみ上げてくる。 「・・・・・ゅう・・・・・・」 第一何なのだあれは。命令されれば主のいうことに逆らえるはずがない。主従関係を結んでいる以上、そこに拒否権はないのである。 「・・・・ねぇ・・・・・・・・い・・・・りゅう!」 そもそも晴明の占いで当たる騰蛇が悪い。 なんで騰蛇なんだ?他の奴に当たれ。くそっ!許すまじ、十二神将騰蛇――――! などと、青龍は八つ当たりこの上ない感想を紅蓮に抱き、内心で罵詈雑言を尽くした。 「ねぇっ!せいりゅうってば!!」 一際大きな声と共に、ぐんっ!と項で束ねられている髪が引っ張られる。 その際、あまりにも力強く引かれ過ぎて青龍の首がぐきっ!と鳴ったように聞こえたのは・・・・・・・・・多分、気のせいだ。 もし、この場に太陰あたりが出くわしたとしたら、きっと昌浩の暴挙に顔を青を通り越して白くさせていただろう。 「・・・・・・・・・・・・・・なんだ(怒)」 いつもよりも五割増で凶悪な顔つきになっている青龍に気づいていないのか、昌浩は拗ねたように唇を尖らせた。 「さっきからなんどもよんでるのに・・・・・・・せいりゅう、ちっともへんじをかえしてくれなかった」 「だからなんだと聞いている。さっさと用件を言え」 「かくれんぼ!かくれんぼ、しよ?」 「・・・・・・・は?」 昌浩から唐突に告げられた言葉に、青龍は胡乱げに聞き返した。 「本を読むのは、もういいのか・・・・・?」 「うん!きょうはここまででおしまい。だから、いっしょにかくれんぼやって!!」 「・・・・・・なんで俺が」 「え〜、いいでしょ?いっしょにあそんで!」 「・・・・・・・・・・・」 昌浩はぎゅっと、青龍の肩にかけられた衣を握ると、了承してくれるまで放さないと言わんばかりに頑なな眼で見上げてきた。 強引なところと頑固なところまで祖父譲りかっ!と、内心で怒声を上げる青龍。何せ相手は子ども、子ども相手に当たるのはさすがに良くはないだろうと、必死に自身を宥めすかす。 ここは命令だと割り切れ。そう、これは命令。どんなに不本意だろうと命令・・・・・・。 激しい葛藤の末、青龍は特大な溜息を吐くと了承したと子どもに黙って頷いて返した。 それじゃあせいりゅうがおにね!ろくじゅうかぞえたら、さがしていいからね?と言って子どもは隠れに走り出していった。 青龍はそんな子どもを見送った後、深々と息を吐いた。 かくれんぼなど冗談ではない。しかし、すでに了承してしまった後である。こうなったら気配を辿って即行で子どもを探し出し(←大人気ない)、昼寝でもさせて大人しくなってもらおう(心労を軽減させるために)。幸い、今の時刻と気候は昼寝に持って来いである、子どもも望みどおり遊んだ後であればすぐに寝てくれるだろう。 そう思考を巡らせた青龍は律儀に六十きっかり数えた後、子どもを捜すべくその足を踏み出した。 そして青龍の目論見通り、さして時間も掛からずに子どもは見つかった。 しかし、その場所というのが――― 「――・・・・何故、木の上にいる」 そう、割としたの方のしっかりとした枝にではあったが、そこに昌浩はいた。 青龍が気配を辿らず、普通に探したのならそうすぐには見つからなかったであろう場所である。 見つかった昌浩はというと、やや不満げな表情である。思っていたよりも早くに見つかってしまったためであろう。 「あーあ、みつかっちゃった・・・・・・・」 「文句は後でいい。とにかく、そこからさっさと降りてこい」 万が一足を滑らせて落ちられたら堪ったものではない。 自分がついている間、子どもに怪我をさせるなど言語道断である。それが例え青龍に非が無くとも、である。 「はーい・・・。よいしょ・・・・・・・わっ!?」 青龍の言葉にしぶしぶと頷いて降りようとした昌浩が、足を枝に掛けた瞬間、ずるりと足を滑らせた。 滑らせた足に全体重を掛けていた昌浩は、勿論それに合わせて木から滑り落ちた。 「!ちっ―――!」 危惧していたことが現実のものとなり、苛立たしげに舌打ちをしつつも青龍は急いで駆け出して昌浩の落下地点へと滑り込む。 青龍が手を差し出すと同時に、そこへ昌浩が落ちてきた。 上手く青龍に受け止められた昌浩は、目をぱちくりさせた後、恐る恐る青龍の顔を見上げた。 案の定、そこには怒りも顕にした青龍の顔があった。 「この馬鹿者が!木に登るからこうなるのだ、俺がいなかった貴様は怪我をしていたぞ!!」 「え、あう・・・・・・その、ご、ごめんなさい・・・・・・」 きつく叱る青龍に、昌浩は悄然と肩を落とした。 そんな昌浩の様子に、青龍は怒りの溜飲を下げる。いまだ額に青筋が浮かんではいるが、取り敢えずそれ以上言い詰めるような真似はしなかった。 子どもを抱えたまま、青龍はさっさと邸の中へと戻る。 そんな中、ふいに子どもがぽつりと呟いた。 「・・・・・せいりゅう、たすけてくれてありがとう」 「ふんっ・・・・・。次からかくれんぼをする時は、木に登ることは止めることだな」 「・・・・・うん」 青龍の肩口に顔を埋めたまま、昌浩はこくりと頷いた。 もうこれ以上言う必要はないか、と子どもを見て判断した青龍は、それ以降口を開くことはしなかった。 そうして夕方になり、邸を空けていた紅蓮が帰ってきた。 そのことを気配で察した青龍は、すくりと立ち上がった。 昌浩はそんな青龍を不思議そうに見上げた。 「せいりゅう・・・・・?」 「騰蛇が帰ってきた」 「え・・・?あ、ほんとうだ。ぐれんのけはいがする」 青龍の言葉を聞き、気配を探った昌浩は、確かにここ数日見かけることのなかった親しい気配を感じ取ることができた。 ぱぁっ!と顔を輝かせる昌浩を、青龍はどことなく面白くないように眺めた。 が、そんなことはどうでもいいとその考えを切り捨てると、一言置いてその場を去ることにした。 「騰蛇も帰ってきた。俺がこれ以上お前の傍についている必要性はない・・・・・帰らせてもらう」 「え・・・・・・」 途端、昌浩は悲しげな顔を作る。 それはもう、言葉を告げた青龍本人がたじろくぐらいにわかりやすく。 「・・・・・・・・・なんだ」 「いっちゃうの?もう・・・あえない??」 「・・・・当然だろう。貴様のことは騰蛇が面倒を見る。俺が貴様と会う理由なんぞない・・・・って、おい」 青龍は話している途中でいきなりしがみついてきた昌浩を、怪訝そうに見遣った。 ぎゅっと衣を握り締める昌浩を胡乱げに見、ついでその手を離させようとする。 「おい、離れろ」 「やだ」 「・・・・何を意味不明なことを言っている。手を放せ」 「やだ」 「・・・・はぁ。一体何がしたいんだ?」 「・・・・・・・・・」 青龍の問いに、しかし子どもは何も答えない。 何とかして掴んでいる衣を放させようとするが、子どもの手はしっかりと握りこんだままである。 手を放させることを諦めた青龍は、己と子どもの言動を今一度振り返ってみる。それしか、今の子どもの心情を察する材料がないからである。 そして一つだけ、思い当たったことがあった。 「もう会わないと・・・・言ったからか?」 半信半疑に呟かれた青龍の言葉に、けれども子どもはしっかりと頷いて肯定した。 何を馬鹿な、と青龍は呆れる。会えないからと、だから何だというのだろうか。 「別に、会えないからといって何か問題があるわけじゃないだろう・・・・・・」 「ある。せいりゅうにあえないことじたいが、もんだいだよ」 「会えないこと自体?」 「うん。あえないのが、やだ・・・・・・・」 子どもの言葉に、青龍は深く溜息を吐く。 この短い間に、随分と懐かれてしまったものだ。 一体どこに懐かれるような要素があっただろうかと疑問を抱くが、それももう過ぎてしまったことである。今更その原因を突き止めたとして、一体何になろうか。 けれども、このままでは子どもは手を放してはくれないだろう。それは困る。その存在だけでも忌々しい騰蛇に、あまつさえ鉢合わせするなどと冗談ではない。 そう思った青龍は、諦めたように息を吐くと新たに言葉を紡いだ。 「・・・・・・・・・・名を呼べ」 「・・・え?」 「必要な時は、俺の名を呼べ。そうしたら会ってやらないこともない」 「ほんと?よんだら、またあってくれるの??」 昌浩は青龍の言葉に、嬉しそうに顔を輝かせる。 そんな昌浩を見て、青龍は苦虫を百匹くらい噛み潰したかのような渋面を作った。今更ながらに己の言ったことを後悔しているようである。もう時すでに遅しだ。 なので一言だけ、しっかりと釘を刺しておくことにした。 「・・・・・ただし、騰蛇が傍にいる時は絶対に呼ぶな。わかったな?」 「うん!ぐれんのいないときだったらよんでいいんだね?」 「・・・・・・・・・ああ・・・・・・」 もう、それしか青龍は言うことができなかった。 子どもは嬉しそうに笑い、それじゃあゆびきりねと言ってくる。 無気力な青龍は子どもと指切りをすると、疲れた(主に心労)体を引きずって異界へと帰っていった。 その後、出会えば必ず鋭い眼光を飛ばしてくる騰蛇に、やはりあの約束は早まったのかもしれないと青龍は後悔するのであった―――――。 ※言い訳 別名、青龍の受難話。(笑)色んな意味で最強な祖父と孫に振り回される青龍・・・・書いていて愉しかったです。あ、ちなみに昌浩の年齢は四歳あたりで・・・・。見鬼の才が封じられてはおらず、そのまま神将達の姿を見ることができたのならという設定で書いてみました。 無表情の下で色々と常識について改めて見直している青龍とか面白いかなぁ〜とか思ったり。昌浩に厳しく接しつつもどこか甘い部分のある青龍。・・・・あれ?これって今時のツン○レというやつでしょうか??うーん、そうなのか? えっと、こんなどうしようもない話でも良ければ、貰ってやってください;; 2007/7/21 |