★クロスネタ1★少年陰陽師×シャーマンキング

【その壱】


「ふわぁ〜ぁ・・・・」

「?眠そうだね、葉。あんまり眠れなかった??」


昌浩が隣から聞こえてきた欠伸にそちらへと顔を向けると、涙目になった葉が丁度目の端を擦っているところであった。


「ん〜、そういうわけではないんよ。ただ、出仕するためにまだ日も昇らんうちから起きるのがな〜」

「あー、うん。そうだよね。まだ寝てたいって思うよね」

「だろ?」

「はぁ・・・。『だろ?』じゃないだろ?葉。いい加減、一人で起きれるようになってくれないかな?起こすこちらの身にもなってくれ」

「え?葉王が葉を起こしてるの??」


葉王の言葉に、昌浩は目を瞬かせる。
それに対し、葉王は大きく頷いて肯定した。


「そう!聞いてよ、昌浩。葉のやつったら寝汚いったらありゃしないんだよ?それこそ僕が起こさないと毎朝寝坊してしまうくらいにはね」

「そっかぁ、葉王も大変だね〜」

「でしょ?」

「うぇ〜、二人とも酷いぞ?」

「酷くない、酷くない」


軽快に会話を行っている彼らは、今陰陽量の書簡庫にいる。
ここはあまり使われないらしく、そのため放置されているのでここにある巻物の整理を頼まれたのだ。
三人は会話をしながらも、それぞれに分担して受け持った箇所の整理を手を止めることなく行っている。


「う〜ん、ここまでばらばらに置かれると、いっそ見事としか言いようがないね」

「そうだな、まず仕分けするのにも時間がかかっちまう」

「量も一杯あるしね。あ、この巻物葉の方のやつじゃない?」

「お〜、すまんな」

「ん?これはこっちの棚の巻物じゃないな・・・・これ、どっちのだい?」

「え?あ、それは俺の方だよ」

「それじゃあ、はい」

「ありがとう」


何だかんだと言いつつも、連携作業は素晴らしいほどに捗っているようだ。
三人で作業を行っていたためなのか、三人の連携作業が良かったのかはわからないが、巻物の整理は二刻半ほどで終了した。


「ふぅ〜、漸く終わったな」

「そうだね。でも思ってより早く終わったね」

「そりゃあ、三人がかりでやったんだから当然さ」

「あ〜、でもかなりほこりが溜まってただろ?床拭いて〜から始まったにしちゃあ早くできたとは思わんか?」

「む、そう言われれば・・・・そうかもしれないね」


邪魔にならないよう、衣の袖口をたくし上げていた襷を解きながら辺りを見回し、最後の点検確認を行う。


「ん。問題は無いようだね・・・・・・って、何をこっちを見ているんだい?葉」

「ん〜、いや・・・・何と言うか・・・・・掃除してる姿が似合わんと思ってな・・・・・・」

「・・・・・は?」

「あ、わかるわかる。葉王がこういう雑用してる姿って物凄く違和感というか・・・・星見してたり、作暦してた方が絶対似合うと思う」

「だろ?やっぱそう思うよな〜」

「うんうん」


変なところで意気投合する昌浩と葉に、葉王は怪訝な顔をする。
雑用が似合わないと言われても、まだ直丁である身なのだから仕方ないだろう。確かに、星見や作暦は自分が得意とするところであるが、だからといってそこまで言われる筋合いはないと思うのだが・・・・・。


「じい様が星見とかしてる姿って貫禄とか慣れっていうのが印象としては強いんだけど、葉王の場合は・・・・う〜ん、絵になる?星見やってる姿が自然っていうか・・・・」

「嵌っちまってるんだよな〜」

「「うんうん」」

「・・・・・・・・・・口を動かしている暇があったら、次の仕事に行くよ////」


素直すぎるのも考えものだね。と、葉王が内心で照れ隠しにも似た言葉を紡いだのだが、当の本人達に聞こえる由もなかった。




そして一人ずんずんと歩いていく葉王に二人が慌ててついて行くのは、後数秒後の話―――――。










2008/2/12