★ネタ3★昌浩が若晴明時代に逆行したら・・・?

地味にこのネタも続いてるなぁ・・・・、ということで引き続き続編。


えっと、前回は怪奇現象の原因である人物と接触するところまでいきましたよね?では、語りの続きに入ろうと思います。

・・・・で、再び都へと帰ってきた昌浩達。次の日の夜あたりには怪奇現象の原因と思われる神様と遭遇します。(早いなおい!)
あるものを探して都中をふよふよと漂っていた神様を、夜警に出ていた晴明&昌浩達が発見します。
もちろん、昌浩達はここで会ったが百年目・・・(違っ!)な感じで、都の異変を元に戻すようお願いします。
しかし、探し物に意識を全身全霊込めている神様にしてはうるさい蝿・・・・もというるさい雑音にぷっちーん!ときて攻撃してきます。
神様と戦闘を繰り広げた昌浩達は一時撤退します。時間を捻じ曲げるなんて攻撃、反則もいいところですからねぇ・・・・撤退せざる負えませんって。
この戦闘後に昌浩に異変が!?昌浩は胸を締め付けるような、息苦しさを感じます。
しかし、そんな不自然な息苦しさも一瞬の間のこと、すぐにそんなものは消えてなくなります。
「?」と不思議に思いつつも、大事に至らないから気にしなくても大丈夫だよねーとその出来事をあっさり流してしまった昌浩。これが後々大変なことに・・・・。

それから数日は、都の変事を除いては至っていつもどおりの日々を昌浩達は送ります。
といっても、それは表面的なこと、その変化は水面下でじわじわと影響力を広げていきます。

ある日の晩、昌浩達はいつものように夜警へと出かけます。
そしていつものようにさして手強いわけでもない妖を調伏したりします。
この時、昌浩は急にくらりと眩暈に襲われます。咄嗟に額へと手を当てた昌浩は、己の手を見て驚愕します。
なんと!己の手が透けているではありませんか!!
驚きに身を硬くする昌浩ですが、瞬きをした次の瞬間には普段と変わらぬ己の手がそこにあることを確認してほっと息を吐きます。
しかしそこで問屋が卸さないのがこのお話の展開。
日に日に昌浩の身体が透ける回数が増え、時間も長くなります。
そして運が良いのか悪いのか、晴明達はそのことを気づくことができません。
初めこそ気のせいかな?と思っていた昌浩でしたが、日に日に悪化していく状況を見て、これはまずいんじゃ・・・・と漸く危機感を感じ始めます。けれども、その時点でかなり状況は良くない方向へと進んでしまった後だったと・・・・。
そして昌浩の異変に一番初めに気がついたのは、やはりと言うべきか紅蓮でした。

夜中、具合が悪くなり、褥を抜け出して簀子へと出た昌浩。
胸の痛みのあまりに勾欄へと寄りかかります。そんな昌浩のもとへ紅蓮がやってきます。
そして昌浩の姿をみてびっくりします。
なんと、昌浩の体が透けて見えるではありませんか!
痛みで蒼褪めた顔をしている昌浩。その姿でも十分に驚愕しますが、問題はそこではありません。
苦しむ昌浩の体が半透明になったかのように色彩が薄まり、本来なら見えないはずであろうその背後の庭の姿が見えるのです。これを見て驚かないはずがない。

・・・・・というわけで、恒例のミニ小説に入ろうと思います。













「―――っ!」


胸が、痛い。

最近になって自分の身体の変調に気がついた。
きっかけは己の手が透けて見えたこと――――。

それこそ初めのうちは「気のせいかな?」と流していたのだが、それも回数を重ね、透ける時間も長くなっていっていることに気づいたのはつい最近になってからだ。
初めは息苦しさや眩暈を覚えるくらいで済んでいた体調不良も、昨日一昨日あたりからは胸の痛みへと発展してきた。今はその痛みも一過性のもので済んでいるが、もう少し日にちを重ねていけばおそらくは慢性的な痛みへと悪化していくのだろう。

晴明に相談しようかとも考えたのだが、日々都中を駆け回っている彼の姿を見ていて、己のことで更に気苦労を増やすのは憚られた。
だが、悪化して手に負えない状況になってから彼に報告するのは更に面倒なことではないかと思い直し、明日あたりにでも話そうと思っていたのだが・・・・・・。

襲い来る痛みの中、徐に己の手へと視線を落とす。
勾欄を握り締めている己の手は、その色を薄め、握っていて見えないはずの手の下の勾欄の部分も透けて見える。
そっと反対の手で触れてみる(反対の手も透けていたが・・・・)。触れている感触は普段のものと変わりない。いつその感覚も鈍くなってしまうかと気が気でないのだが、取り敢えずほっと息を吐いておく。

そして気を抜いたせいだろう。直ぐ傍まで近寄ってきていた紅蓮・・・・・騰蛇の気配に気づくことができなかったのは――――。


「おい、こんな夜更けに何を―――っ!?」

「!・・・・・・と、騰蛇・・・・・・・・」


初めはこんな夜中に起き出してきている昌浩に、一言注意の言葉を投げ掛けようとした(人付き合いにおいて少しは成長した)騰蛇であったが、身体が透けて見える昌浩を見て驚愕に凍りついた。
大体、人が透けて見えるという時点で驚かない者などいないだろう。(幽霊じゃあるまいし・・・・)
はっと正気づいた騰蛇は、傍から見てもわかるほどにきつく眉を寄せると、昌浩へと歩み寄った。


「・・・・子ども、その様は何だ?」

「えっと・・・・・俺にも、よくわからない」


自分でもどうしてこのような状態になっているのかがわからず、取り敢えず質問には素直に答えた。
が、それで騰蛇の眉間の皺が取れるはずもなく、彼は依然として厳しい表情のままであった。


「・・・・いつからだ?」

「え・・・?」

「その状態はいつからだと聞いている」

「えっと・・・・五、六日くらい前から・・・・・だと思う」

「何故今まで黙っていた?こんな重要なこと、晴明のやつに隠し立てしていていいと思っていたのか?」

「え、いや・・・・最初は気のせいかなって思ってたし・・・・・俺もこれはまずいよな〜って思って、明日あたりにでもじい様に相談してみようかとは思ってたけど・・・・・・」


自分でも馬鹿な真似をした自覚がある昌浩は、騰蛇の質問に視線を泳がせつつ気まずげに答えた。
そんな昌浩の様子を見た騰蛇は、呆れたように「はぁ・・・・」と息を吐く。
しばらくの間、何やら考え込んだかと思うと、くるりと昌浩に背を向けて一言言葉を紡いだ。


「・・・・・行くぞ」

「え?行くって・・・・どこに?」

「無論、晴明の部屋に、だ」

「え・・・い、今から?!」


騰蛇の言葉に、昌浩は慌てたような声を出す。
今の時刻は大体亥の刻から子の刻の間くらいだろう。いい加減、寝ないといけない時刻だ。


「今行かずにいつ行く?大体にして、晴明のやつだったらまだ起きているだろうさ」

「や、けどそれは・・・・・・」

「ちっ!いつまでぐずぐずしている・・・・・・・さっさと行くぞ」

「え・・・・・・・あ!と、騰蛇!?」


騰蛇は一瞬だけ戸惑った後、昌浩の腕を引っ掴んで晴明への部屋へと歩き出し始めた。
昌浩はそんな騰蛇に引きずられて、同じように晴明の部屋へと向かうこととなった――――。















はい、ミニ小説終了〜!

この遣り取りで騰蛇の成長具合が伺えます。人のことを気に掛けたり、自分から触れたりしようとするあたりなんかは、排他的(むしろ非社交的?)な騰蛇からしてみれば十分な進歩だと言えると思います。
って、話が逸れた・・・・・・ま、そんな感じで昌浩は騰蛇にさくさくと晴明のところに連行されます。(笑)

部屋に入ってきた人物(騰蛇)に驚き、次いで昌浩の姿を見て更に驚いてしまう晴明。そんな晴明をよそに、紅蓮はつい先ほどまでの昌浩との遣り取りを話し出します。
もちろん、最初は呆然唖然としていた晴明ですが、話を聞いていくうちにだんだんと険しい表情になっていきます。
話が全て終わる頃には怒り心頭ものです。
まぁ、怒りの理由は自分にずっと話さないでいた昌浩にもありますし、そんな昌浩の状態に今まで気がつかなかった自分自身にもあります。
取り敢えず、怒りは横に置いておくとして、昌浩がそんな状態になってしまった原因について考え始めます。

そして昌浩の話を聞き、時系列を振り返ってみて、原因は時を司る神様がそれっぽいな〜という話になります。
昌浩の状態なども合わせて考えてみると、割とその考えも強ち外れていなかったりします。
つまり、大本の原因はというと、この時代においての昌浩の異常性ということになります。
本来なら存在するはずのない『昌浩』という人間が今存在している。
それはあってはならないこと。なので世界は昌浩という存在を消しにかかっていると(あ、この場合文字通り存在の消滅という意味です。消えてしまえば元の時代に戻るというわけではなく、存在そのものが抹消されるという)・・・・なんともわかり辛い話に;;

そんなの都の異常事態で被害を食らっている他の人も一緒じゃん!と思う方もいるかとは思いますが、まぁそこは昌浩が彼らよりもずっと前から「時の歪み」ってやつの影響にあっているとからという理由などで納得してください。

で、こんな昌浩の状態がわかったからには、晴明達も悠長に構えているわけにはいきません。
都の変異を元に戻すのが先か、昌浩が世界から存在を抹消されるのが先かという事態になってしまったわけなのですから・・・・・。
もちろん、この事態を回避するためには、昌浩を元の時代に戻すという手しか残されてはいません。
なので晴明達は躍起になって神様を正気に戻させようとします。まぁ、その為には神様が求めているものを見つけ出さないといけないんですけど・・・・・・。


で、話は大きく跳びます。


神様を無事に正気に戻すことができた晴明達。(Σ早っ?!)
その時点で昌浩はもうほとんど消えかかっております。もう、輪郭もあるかないかくらいにあやふやになっています。
もちろん、そこは神様に頼んで元の時代に戻してもらうことになりました。

・・・・はい、とうとう別れの時間です。
皆とお別れの言葉を交わし終わった後、昌浩は最後に騰蛇と向かい合います。

騰蛇は表情にこそ出したりはしませんけど、昌浩がいなくなってしまうことを寂しく思っております。(もちろん本人自覚なしの方向で☆)
そんな騰蛇の心情を見透かしたかのように、昌浩は微笑を浮かべます。そして、

「未来で・・・・・俺達は、また会うことができるよ・・・・・・」

という言葉を言い残します。
騰蛇ははっとなって昌浩へと視線を向けると、微笑んでいる昌浩が丁度消えていくところでした。
思わず昌浩へと手を伸ばしかける騰蛇。しかし、その手は届くことはなく―――



「またね、”紅蓮”」



言葉の残響を残して、昌浩は姿を消し、現代と戻っていきます。


そして昌浩は、時を逆行する直前までいた現場へと帰ってくると――――。






はい!こんな感じでお話は展開していきます。
いや〜、この語りは長かった!最後、かなり端折っている部分はありますけど、まぁそこはネタ語りだからってことで♪

取り敢えず、「お疲れ〜!」と自分に言ってみたり。








これでこのネタ語りは終了致します。










2008/2/24