★ネタ3★昌浩が若晴明時代に逆行したら・・・? という設定。相変わらず好き勝手に考えています。 このお話(というかネタ?)では、昌浩が晴明の若い頃(時代)に逆行するというものです。 時間軸としては道反より前になります。 逆行。オリキャラなどが平安時代にトリップしてくる話などはよく見かけますが、原作キャラが更に昔を遡るという話は見かけない気がします。なので、昌浩に時代を逆行してもらおうという魂胆です。 ある日ふとしたら昌浩は何故か見慣れぬ荒地とかに立ってるんです。 もちろん昌浩は混乱します。 え?なに?何で俺こんな所にいるの??!みたいな・・・・。 つい一瞬前までもっくんと夜の見回りをしていたはずなのに今は一人。明らかにさっきまで見ていた景色(街並み?)とは違うし・・・・・・。 しかも怨霊が大量に飛び交う中で突っ立っているもんですから尚のこと吃驚!襲い掛かられるので反射的に応戦します。 が、多勢に無勢。いくら力のある昌浩とはいっても、四方八方から休む間もなく攻撃され続ければ苦戦を強いられます。 とそこに若晴明が十二神将を引き連れて現れます。 陰陽寮あたりから調伏の依頼があったのでやって来た晴明(+十二神将)ですが、先客がいることに『おやぁ?』と思います。が、どう見ても危機に瀕しているようなので、取り敢えず助けることに決定。 じい様と神将達が参戦したことによって、あっさりと怨霊達は消し去られます。 というわけで、ミニ小説でお送りします。 「オンアビラウンキャンシャラクタン!!」 裂帛の気合と共に、呪言がするどく放たれる。 凄絶な霊力が広がるのと、怨霊達が次々と消滅していくのは同時。 油断なく構え、休む間もなく術を放っている昌浩は、脳内ではかなり混乱していた。 何故、こんなことになった? 確か自分はつい先程まで物の怪と共に右京の三条大路辺りを歩いていたはずだ。 しかしふと気がつくと、見覚えのない荒地にぽつんと突っ立っていた。 いまいち現状を掴みあぐねていると、周囲を飛び交っていた怨霊達が一斉攻撃をしかけてくる始末。 冷静に現状を把握するよりも前に、ゆっくりと物事を考える暇もなかった。 「砕っ!!」 左手を横薙ぎに払う。迸る霊気を叩きつけられた怨霊達は次々と滅されていく。 が、あまりにも大量にいすぎるのだ。消されていく怨霊の脇をすり抜けて、他の怨霊達が昌浩目掛けて突っ込んでくる。 「っ!禁っ!!!」 地に横一文字を描くと同時に、不可視の障壁が築かれる。 昌浩へと殺到してきた怨霊達はそれにぶち当たって一気に消滅していく。 「くそっ!きりがない!!」 一体どこから沸いてくるのか、怨霊達の数が減っているようには感じられない。 昌浩は苛立たしげに唇を噛む。 普段物の怪こと紅蓮がいたり、六合や勾陳がいたりなどするので一人で大量の怨霊を相手にすることがあまりなかった。故に一人で対処することができない。 こういう時、如何に自分が甘やかされていたのか身に染みて感じられる。 どういった経緯でこのような状況になったのかはわからないが、とにかくこの場は己の力のみで切り抜けなければならない。 「タラヤマウン、タラタカン、マン!!」 昌浩の霊力が膨れ上がり、一気に爆発する。 その衝撃で何体もの怨霊が散り散りに吹き飛ばされる。 が、それでも払いきれなかった霊が隙をついて昌浩へと襲い掛かる。 (っ!避けられない!!) 昌浩と怨霊の距離は極僅か。かわすにも、障壁を築くにも距離が足りなかった。 ぶつかる!と思った昌浩は咄嗟に目を閉じた。そして襲い来るであろう衝撃に備える。 その時、 「万魔拱服、急々如律令! 」 身体を震撼させるような、壮絶な霊力が周囲一帯を覆いつくした。 その霊力はその場に残っていた怨霊達を一体残らず消滅させた。 昌浩は肌で感じた霊力に、強い安堵感を覚えた。 この霊力を知っている。だってこの霊力は――――― 「大丈夫かっ?!」 長い前髪のみを残し、残りの髪の毛をうなじで結っている青年がこちらへと近寄ってくる。 それは昌浩もよく見知った 「じい様・・・・・・・・」 そう安倍晴明その人であった。 晴明は足早に昌浩に近寄ってくると、昌浩の身体に上から下へと視線を走らせた。 「どうやら怪我はないようだな」 「・・・・?はい、お蔭様で・・・・・・」 常になく心配した風な様子を見せる晴明に違和感を感じ、昌浩もらしくない返事を返す。 しかし晴明はそんな昌浩の困惑には気づかずに、念のため周囲へと視線を巡らせる。 「・・・・・・・・よし。一体も漏らさずに払えたようだな」 「・・・・・・・・・??」 油断なく周囲の気配を窺っていた晴明は、危険がないことを確認するとその緊張を緩めた。 そんな晴明の様子に、昌浩はただただ困惑を深めるばかりである。 だって、おかしいのだ。 この場に晴明がいることに対しては、昌浩もさほどには疑問を抱かない。 祖父はこうしてたまに自分の夜警の様子を見に来ていたのだから・・・・・・・。 だが、普段の晴明は昌浩がいくら窮地に立っていたとしても最低限の手出ししかしてこない。 昌浩が少しでも早く陰陽師として自立できるように、とっても回りくどい態度を取りながらも晴明はその方針を重点にいつも昌浩の行動を見守っていた。 では、今目の前にいる晴明はどうであろうか? 昌浩の窮地を救ったのはいい。だが、その場にいた怨霊達を一掃するとはどんな気まぐれであろうか? 常の祖父であれば昌浩に襲い掛かってきた怨霊一体だけを払っただろうに・・・・・・。 渦巻く疑問に混乱しながら、昌浩は答えを求めるように目の前の祖父へと視線を遣った。 「えっと・・・・・・」 「全く、こんな時間に、しかもこんな場所に一体何の用があったんだ?この場所は最近怨霊達の巣窟になっていると都でも噂になっていただろう?私が調伏の依頼を受けてこの場に来なかったら、君の命はとうに尽きていたぞ?」 「・・・・・・・・え?」 きみ?今『君』と呼んだのか?この自分を・・・・・・。 昌浩は今度こそ驚愕に目を見開いた。そして次に狼狽する。 君などと他人行儀な呼び方など、まるで赤の他人に接するようではないか。 そんな昌浩の様子をどう見て取ったのか、晴明は呆れたような表情を作った。 「なんだ知らなかったのか?この荒地は怨霊の溜まり場で誰も近づかない場所なのだよ。ここ最近ではここに近づく者は誰もいないな」 「そ・・・・うなの?」 「あぁ、態々私に回される程度には強い霊のようだったが・・・・・・・。君にも見えただろう?怨霊の姿が。徒人に見えるくらいには力を持っていたってことさ」 「徒、人・・・・・・・・・」 「ん?どうかしたのか?」 軽く首を傾げて問いかけてくる晴明に、昌浩の違和感はいよいよ頂点に達そうとしていた。 そしてとうとう決定打をうつ言葉を、彼の祖父は口にした。 「で、君の家はどこなんだい?こんな街外れの場所にいては帰るのがかなり遅い時刻になってしまうぞ?」 「え・・・・・・・」 心臓に杭を打ち込まれるような、半端ではない衝撃が昌浩の胸を貫いた。 何を言っているのだ?この目の前の祖父は・・・・・。 「えって・・・・・家だよ。もう夜も遅い。私も仕事は終わったからね、送って行こう」 「な、に言って・・・・・・何言ってるんですかっ!―――じい様っ!!」 昌浩は現状に思考が追いつかず、脳裏を駆け巡った疑問の言葉をありのままに叫んだ。 という展開に!昌浩はまだここが過去だとは気づいておりません。 目の前に若晴明がいたって、それはいつも離魂の術を使った時の晴明の姿そのままなので、特に疑問を抱く点がないんですよねぇ〜。晴明の容姿からは。 初めは当たり障りのない会話をしていた二人ですが、次第に言動がおかしな方向に・・・・・。 あれ?と疑問を抱くような頃になった時、いよいよ疑問を表面化させるような言葉を晴明が口にします。 もちろんその台詞を聞いた昌浩は『何言ってんの―っ?!』ですよ。 めっさビックリ☆当然ですよね、顔見知り(しかも家族と言うべき人)からそんな台詞を吐かれりゃあ驚きもしますって。 もちろんじい様だってびっくり!だってまだ二十代なのに、見知らぬ子どもから『じい様』って言われればね。私はまだそんなに歳はとってないっ!!ですよ。 それを聞いて昌浩は最早驚きを通り越して固まっています。 え?えっ、にじゅーだいっっ?!みたいな。 驚愕と困惑に固まってしまった二人。 と、そこに助っ人参上!護衛として晴明についてきた六合・太陰・玄武の三人。 彼らは怨霊の残党(晴明が確認した時には既に抹殺済み)を払いに言ってました。 主の下へと帰ってきた三人は互いに向き合って固まっている二人を見て『ん?』と怪訝に思います。 太陰あたりが『ちょっと、ちょっとどうしたのよー!』と晴明に話しかけます。 そこで漸く晴明も正気に戻ります。いやぁー、じい様らしからぬ大失態ですね! 晴明は困惑ながらもつい先ほどまでの遣り取りを神将達に話します。普段のじい様だったら絶対にありえない光景だよね、これ。まぁ、それはじい様も若いからってことで。 もちろん事情を聞いた神将達も頭上に疑問符を飛ばしますよ。 え?晴明って孫なんかいたっけー? いや、まだ孫をもうけるほどの歳なんかとってないぞ! みたいな漫才ちっくな会話を繰り広げる。だんだんキャラが崩れてきてるな・・・・・・・。 そんな中、偶然にも六合と昌浩の視線がばっちり噛み合います。 「・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・;;」 じぃ〜っと無言で睨み合いっこ。(いや、別に睨んでないって!) まさか自分の姿が見えていると思っていなかった六合は、どう対処すればいいのかわからずに、ひたすら昌浩と視線を交わしています。というか外せません! よくわからないが、子どもの瞳は必死に何かを訴えてきている・・・・・気がしてならない。 そんな六合の様子に気づいた玄武がどうしたのかと話しかけます。 六合、そこで漸く瞳を逸らすことに成功!内心かなりほっとする。 いや・・・・何でもないのだが;;えっと、どうやら俺達のことが見えているようだぞ?と、玄武に進言してみる。 なに?と六合の言葉を聞いて、玄武は子どもを見遣る。 すると確かに子どもはこちらへとその目を向けていた。 うん、見えているようだな。 そうだろう? と目で言葉を交し合う六合と玄武。 やっぱりここは頼みの綱、主に意見を仰ぐしかない。 おい、晴明。この子ども、どうやら我々のことが見えてるようだぞ? なんだと? ・・・・・・という感じにお話は進んでいきます。 あれやこれやと話をしていてこれじゃあ埒が明かない、一旦話を切り上げるぞってことになります。 こんなところで突っ立っていても仕方ないので、一行は安倍邸に帰ることに決定。 昌浩ももちろん彼らについていきます。だって安倍邸が昌浩の家ですからね、他に帰りようがありません。 そんなこんなで場所は安倍邸・晴明の自室へと移ります。 ―――とまぁ、今回はこの辺で打ち切ります。続きは安倍邸編から始めるとします。 2007/5/10 |