忘れちゃいけない攻略法







数日前、少し強い妖が出たらしい。

いつもの如くそれは晴明のもとへと依頼が来る。

するとそれもいつもの如く昌浩のもとへと回ってくるのだ。

今回もつまりは一緒で。



「最近多いねー。じい様に回ってくる依頼。」

「だな。さすがに疲れも出てくるし、今日は早めに終わらすか。丁度太陰や玄武も居ることだし。」

「そうよ!私たちに任せなさい!」

「否、太陰に任せるのは良くない」



ちょっと、どういう意味よ!それ!?



昌浩のすぐ傍でいつものやりとりが始まる。

それをなだめつつも4人はその妖が出るという場所に近づいて行った。



「でもやっぱり皆、疲れてるよね。こう毎晩も続くと。」



そう、ここ何日か調伏をする日々が続いていた。



そのほとんどはこの4人で行く。

他の神将達は他に用事があるらしい。



「そーね。さすがに疲れたわ。ってことで早く休むためにもとっとと終わらすわよ!!」

「賛成だな。」

「やっぱり疲れてるんだ………」



なんとなく自分がしっかりしなきゃと、頼ってばかりじゃ駄目だと、そう昌浩は感じた。









「オンアビラウンキャンシャラクタン!」



最初は良かった。

だが相手もしぶとくてなかなか倒れない。



「このっ……!」



太陰が妖相手に苦戦しているのが見えた。

風をよけられてしまうらしい。



「玄武、結界はってて。後は俺がやる。」

「昌浩、無茶だ!」



紅蓮が止めるも大丈夫と言って昌浩は走り出す。



あと少し。頼ってばかりじゃ駄目なんだ……!



「オンシユチリ、キヤラロバソンケンソワカ!!」

昌浩の放った真言によって妖は引き裂かれ崩れ落ちていく。

そしてそれは昌浩のいる方向へ。



「あっ……」



よけたいのによけれない。

溜まっていた疲労のせいで足がうまく動かないのだ。



「っ………!」







*  *  *  *  *





「……………」

「一人で終わらせようなんて何考えてるんだ。」

「ごめん……な…さい……」



妖が崩れる瞬間玄武が昌浩の周りに結界をはる事で難を逃れた。

しかし紅蓮は無茶をした昌浩が許せなかったらしい。


「本当よっ!危ないじゃない!」

「我の結界があったから良かったものを。」



訂正。3人ともだったらしい。



「う………。だって皆疲れてるし頼っちゃいけないかと思って…」



つまりは3人の事を想ってのことで。

3人は一気に脱力した。

「………昌浩らしいわ………。大体神将の私たちより人間である昌浩の方が疲れてるに決まってるじゃない!」

「あ……そっか」



「「「………………」」」



なんというか………



「とっ、とにかく!私たちの事もちゃんと頼ること!」

太陰が昌浩を指さして言う。

後ろでは紅蓮と玄武もうんうんとうなずいていた。



一人じゃない。

皆がいる。


昌浩は嬉しそうに微笑んだ。



「っ、うん!」


















+あとがき+

10000hitフリー小説ですっ!!
どうぞご自由にお持ち帰りください。
でも直リンはやめてくださいね。