「さあ私を殺せであるドアホ花――!!」
『『ぎゃああああやめろボケ――!!』』
クロウリーの罵倒に気色ばんだ食人花がアレン・ラビ・クロウリーを丸呑みしようとす
る。
これに慌てたのは巻き添えを食らっているアレンとラビである。
このままては食人花の餌食になる!?という危機感と、さっきから隣できのこを栽培
できそうな程にうじうじ、もとい嘆いているうざったいこの非常事態の根本的な原因
のクロウリーに、常は温和で平和主義なアレンの理性の箍が吹き飛んでしまった。
「落ち着いてください!!つーか、独り善がりなネガティブ思考で僕らまで巻
き込まないでください!!!はっきり言って多大に迷惑です!」
「お、落ち着けってアレン・・・・・」
「ラビは少し黙っててください!!」
いつもと違う様子にラビはアレンを宥めようとするが、鋭い一瞥と共にあっさりと切り
捨てられてしまった。
勢いに任せて鷲掴み・・・でクロウリーの口を塞ぎ込んで黙らせる。
口を塞ぐ際に「ぐきっ」といういやな音がしたが、アレンはそれを綺麗に無視する。
「なっ・・・なにをするであ「うっさい黙れv」
いきなりの事態に非難の声を上げようとしたクロウリーをアレンは一言で黙らせる。
表情こそにこやかで爽やか極まりないが、バックには黒い靄みたいなものを背負って
いる。はっきり言ってかなり怖い。
「あ、アレンが黒いさぁ・・・・・」
頬を引きつらせながら呻きと共に出たラビの呟きも、幸いなことに緊迫状態な二人の
耳には届かなかったようだ。
「嘆くの結構、哀しむの結構、さらに言ってしまえばあなたが死んじゃっても僕た
ちは全然これっっぽっちも!(←強調)困ったりしないのでどうでもいいんですが、
こっちにまで被害が及ぶのは流石に後々(というかすでに)面倒になるのでやめてく
ださいv」
僕たちってオレも含まれているのか?とか、面倒とかそういう問題じゃないだろ?と
か、なんで語尾にハートマークが付いてんのさ?という疑問を抱きこそすれラビは
口には出さなかった。
懸命な判断である。
ふと、アレンはクロウリーの右腕に視線を移した。
「右腕、負傷してるじゃないですか」
「こんなもの・・・・・またアクマの血を飲めば治るであろう・・・・・・」
アレンの言葉にクロウリーの顔がさらに暗く沈む。
アレンは口を噤んでクロウリーの言葉を聞く。
「はは・・・はっ。とんだ化け物になったものだ私は・・・・・」
さぁさぁと雨が降る中、クロウリーの声だけが静かに響き渡る。
「・・・・・愛していたものを、手に掛けてしまった」
クロウリーの言葉にアレンは静かに眼を見開く。
「死にたい・・「あ゛ーもうっ、さっきからごちゃごちゃと!」
しばらくの間クロウリーの言葉をアレンは聞いていたが、イラついたように口を開く。
グイッとクロウリーの襟元を力いっぱい引き寄せる。
顔面いっぱいにまでお互いの顔が近づく。
アレンの瞳が煌々と光っている様子を間近で見たクロウリーははっと息を呑む。
魅入られたようにその瞳から視線を外すことが出来ない。
「そんなにつらいなら、エクソシストになればいい・・・・・」
アレンは静かに、たが力強く言う。
「エクソシストはアクマを壊すんですよ、あなたはエリアーデというアクマを壊したんで
す」
表情を動かさずに淡々と語るアレンをラビが驚いたような顔で眺めている。
「そしてこれからもアクマを壊し続ければ、それがエリアーデを壊した『理由』になる」
雨で濡れた髪が肌にまとわり付いてうっとおしく感じるのも気にせずに、アレンは尚も
話を続ける。
「理由があれば生きられる・・・・・・・」
そう、あの頃の自分のように。
話している間も瞳の中に宿る輝きはより一層増していくばかりだ。
「理由の為に生きればいいじゃないですか」
より強く心の中に響くように、より深く心の中に刻むように・・・・言葉一つ一つに力を、
想いを込めて発する。
それでまたこの人が立ち上がることができるのなら・・・・・。
「あなたもまた、神の使徒なんだ・・・・・」
今、この言葉を紡ごう。
『生』という織物に色を与える為に。
降りしきる雨の中孤独な魂は嘆きの賛美歌を奏でる。
唯一無二の愛しき者に捧げる鎮魂歌を・・・・・・・・・。
※言い訳
ギャグを書いたつもりなんですけどねー・・・・・何故か後半はシリアスっぽくなって
しまった。(あれ?)
更に今回はアレンが黒くなっております。これって黒いと言えるのだろうか・・・・・・?
なんか書いている内に自分もわけわかんなくなってきたなぁ。
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2005/4/7