踊る蒼炎。









翻る白銀。









そして高らかに上がる咆哮。









今、真なる姿が解き放たれる――――――――。














沈滞の消光を呼び覚ませ拾〜















一方、九尾対晴明達の戦いも熾烈を極めていた。


「―――ちっ、羽虫も数が多ければ、ここまで煩わしいものなのだな・・・・・・・・」


九尾は浅くとも確かな傷の数が増えていく己の身体を見て、忌々しげにそう言葉を吐き出す。
何せ多勢に無勢。高い治癒能力のお陰で致命傷などをその身に負うことはない九尾であるが、如何せん休む間もなく繰り出される相手の攻撃を捌ききれない。
単騎ではほぼ最強と評されても良い程の力を有している九尾であるが、相手は曲がりなりにも神の位を戴く神将達。そして薬師如来と安倍晴明・・・・・・容易く倒せる相手でも、手抜きで相対できる相手でもないのだ。

九尾は今一度小さく舌打ちを零すと、後ろへと大きく跳躍して、相手との距離を大きくとる。
九尾が大きく距離をあけたことで、神将達は各々武器を握る手に込めていた力を僅かに緩める。
しかし、九尾を見据えるその眼に、一点の揺るぎもなかった。
ぴん!と、張り詰めた空気が冷ややかさと共に両者の間に流れる。

そのまま膠着した状態が続くかと思われたが、予想を裏切って直ぐに九尾が動きを見せた。
九尾は徐に口の端を持ち上げて、うっそりと笑んだ。


「ふっ・・・・少しばかり、お前達を侮っていたようだな・・・・・この身体では動き辛い。本来の姿へと返らせてもらうぞ!」

「本来の姿、だと・・・・・?」


宮毘羅(くびら)達は九尾の言葉に訝しげに眉を寄せた。
九尾はそんな宮毘羅達の表情を見て、ますますその笑みを深いものにする。


「如何にも。我は大妖・九尾――古より生ける妖怪ぞ。その本質はそこにある。力を持ち、人の身をとることができようとも、我が妖であることに変わりはない」


九尾がそう言うと同時に、九尾を取り巻く蒼炎がゴォォォッ!!とその燃え盛る勢いを増す。
それと共に、全てを押し潰さんばかりの重圧な妖気が九尾を中心に一気に爆発する。
蒼炎は九尾自身を取り込んで尚、その規模を大きく広げていく。
蒼き炎は天をも焼き焦がさんばかり勢いで一本の柱となり、次いで花散るように拡散した。

オォオオォォォォン!!!

蒼炎の中から姿を現したのは、月影色の毛並みを持ち、八つの尾を躍らせる一匹の巨大な狐の妖であった。
黄金色の怜悧な眼光が、神将達を始めとした己の敵の眼を射抜く。


『この牙と爪、そして炎をもって貴様らを屠ってくれようぞ―――っ!!』


そう言うないなや、九尾は俊敏な動きで神将達へと踊りかかっていった。







                        *    *    *







一方、その頃の紅蓮達はというと、姿を消した煌が向かったであろう九尾の許へと急いで向かっていた。

その最中、紅蓮達は前方からやって来る人影の存在に気がついた。


「!あれは・・・・彰子姫?!」


その人影が誰であるのかいち早く察した勾陳は、駆ける速度を更に上げた。
顔を若干俯けて歩いていた彰子は、近づいてくる足音にふと顔を上げた。そしてその足音の主が見知っている者であることがわかると、ほっ・・・と浅く息を吐いた。


「勾陳・・・・・・・」

「無事か?彰子姫」

「えぇ、私は大丈夫よ。どこも怪我なんてしてないわ。それよりも、勾陳達の方が怪我を・・・・・・・」

「なぁに、我々は神将。このくらいの怪我はどうってことはない」

「・・・・それでも、怪我は怪我よ。痛みだってあるのでしょう?」


再会して早々、自分達の怪我の心配をしてくる彰子に勾陳は僅かに苦笑を零した。

我が身よりもまずは相手の身を心配する。
それは簡単にできそうで、実はとても難しいことだ。
それを自然と行える彼女を、とても好ましく思える。
しかし、こちらとしてはやはり己の身を顧みて欲しいと思ってしまう。ちょっとやそっとの怪我では死ぬことのない自分達(神将)ではあるが、人の身に至ってはそうも言うことができないのだから・・・・・。


「それよりも、彰子姫。ここへはどうやって・・・・?」


彰子が一人でいる姿を見て、ふと疑問に思ったことを六合は口に乗せた。
その六合の言葉にはっと我に返った神将(大将)達は、慌てて彰子へと視線を集中させた。


「!そや、ここまで来るのに妖に襲われたりせえへんかったんか?!」

迷企羅(めきら)馬鹿。姫は無事、つまり襲われてない」

「なっ!ば、馬鹿って・・・・それは酷いんとちゃうんか?波夷羅(はいら)・・・・・」


俺は姫さんを純粋に心配して言っただけなのに・・・・。

容赦なく言葉をぶった斬る波夷羅に、迷企羅はがくりと肩を下げる。
そんな迷企羅の隣で、安底羅(あんてら)が不思議そうに首を傾げている。


「でも、本当に妖達に遭遇しなかったの?敵地の真っ只中なのに??」

「えぇ、妖には会わなかったわ」

「妖『には』?・・・・では、妖ではないものには会ったのか??」


彰子の言葉に引っかかりを覚えた勾陳は、問いかけの視線を彰子へと向ける。
彰子以外の者達は、はっとしたように勾陳へと視線を向ける。勾陳が何を意図して今の質問を行ったのかに気づいたからだ。


「えぇ・・・煌(こう)と名乗った男の子に・・・・・」

「!会ったのか?」


全員の視線が集中する中、彰子は無言で一つ頷いた。


「こっちに向かって歩いていけば、皆と合流できるって・・・教えてくれたわ」

「教えた?何でや、確か姫さんを攫ったのはあの坊主自身やなかったか??」

「えぇ・・・でも、教えてくれたの」

「む〜、わからないわねぇ!攫った本人なのに、何で今回は見逃したりしたの?」


困惑の表情を浮かべる神将(大将)達に、先ほどまでの遣り取りを話すべきかどうか彰子は判断できずにいた。
他人の弱音を、他の者に話すべきではないのだろう。だが、あの男の子との会話の中で、気になった言葉があったのも確かであった。


『記憶が戻ったのに・・・・・・いらないって、思った。邪魔だって・・・・・・』


辛そうに吐き出された言葉。
その言葉の真意を聞く間もなく、彼の男の子は姿を消し去った。


「記憶が・・・・・」

「――え?」

「記憶が、戻ったって言ったの。あの、煌って男の子・・・・」

「本当か!?」

「でも!・・・・・でも、とても苦しそうだった。記憶なんていらないって・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」


記憶が戻ったという彰子の言葉で表情を明るくした神将達であったが、続けて言われた言葉に今度は表情を暗くした。
記憶が戻ったというのに、その記憶を拒絶する。それが意味することとは――――。


「九尾を、選んだっちゅうことか・・・・?」

「そんな!だって記憶を思い出したんだよ?!こっちが居場所だって・・・・皆が心配してるって、わかるんじゃないの??」


ぽつりと零れた迷企羅の呟きに、安底羅は愕然とした表情を浮かべる。

失われた記憶が戻れば昌浩が帰ってくる―――そう、根拠もなく先ほどまで信じていたのだ。
記憶が戻ったのに彼の子どもはこちらへと戻ってこない。
そんなことになるとは思ってもいなかったのだ。

困惑と絶望に空気が満たされる中、それまで一度も口を開いていなかった人物が徐に口を開いた。


「―――記憶が戻ってもあいつが帰ってこない。それがどうした?」


静まり返る空気の中、その声は思いのほか響いた。
その声につられて、皆が皆はっと我に返った。そして今響いた声の持ち主へと視線を集中させる。
声の主は、紅い髪を持った神将であった。


「記憶を・・・・過去を、あいつが厭っていることくらい今までの反応を見ればわかることだろう?それが記憶が戻ったからといって、そうほいほいとこちらへ帰って来るなどそれこそありえないだろう?」

「・・・・・そうだな。先ほどの様子からして、記憶を取り戻すことを強く拒絶していたからな。思い出したところで寧ろ今は逆効果でしかないかもしれない・・・・・・・」

「あぁ・・・・。恐らく、酷く混乱しているのだろうな」

「ちょ、ちょっと待ちぃや!何でそこであんさんらは納得しとるんや?!」

「そうよそうよ!私達にもわかるように説明してよ!」

「・・・・・わからない。説明、求む」


紅蓮の言葉に何となくではあるが理解を示す勾陳と六合に対し、夜叉大将達は更に困惑を深めるしかなかった。
煌が記憶を取り戻したくないと思っていたことは、先の狂乱ぶりからも察することができる。しかし、それとどうして記憶が戻ってもこちらへと帰ってこないことに関係があるのだろうか?
そんな夜叉大将達の疑問を察したのか、紅蓮は改めて口を開いた。


「そもそも、前提条件から間違っていたんだ――――――」


そう、紅蓮達は根本的なところで思い違いをしていた。

煌は紅蓮達のことを覚えていない――つまりは記憶喪失であり、記憶が無いが故に九尾の許に留まっていると考えていた。
そして忘れた記憶を思い出せば自分の居場所がどこであるのかを思い出し、こちらへと帰ってくるのだろうという結論に達した。

しかし、ここで決定的な見落としがあったのだ。
それは『煌』という人格である。

先に述べた紅蓮達の考えは、記憶が戻ることによって『紅蓮達の知る』昌浩という人格が確立され、昌浩が昌浩という人成りを納得し受け入れることが大前提となる。
だが、それは『煌』という昌浩の新たな人格が確立されていない状態であればの話。
現実はその逆。『煌』という人格が強固に確立されすぎて、紅蓮達の知る昌浩――以前の昌浩という存在が拒絶されてしまっている。昌浩と煌。二つの人格の価値観や己の一番と置くものの存在が、全く異なっているというのが一番の要因なのであろうが・・・・。


「――だから『煌』という一つの人格が成立してしまっている今、ただ記憶を思い出しただけではあいつが俺達の所に戻ってくることはないということだ・・・・・・・」

「そんな・・・・じゃあ、どうやって昌浩を取り戻すって言うの?」


心底困りきった表情を浮かべる安底羅に、紅蓮は逡巡した後ぽつりと呟いた。


「さぁ・・・・・だが、俺はそれを理由に取り戻すことを諦めるつもりはないということだ」


確かにあいつは己の知っている昌浩ではないのかもしれない。でも、確かに己の知っている昌浩でもあったのだから・・・・・・。

そう小さな声で紡がれた言の葉は、しかし本人以外の耳に入ることはなかった――――――。







                        *    *    *







蒼き炎が踊り、銀光が閃く。

風が吹き荒れ、地が抉り取られる。



―そして、熱を孕んだ赤き雫が土へと吸い込まれていく。



晴明達と九尾との戦いは、膠着状態へと陥っていた。

九尾を倒す可能性を秘める『綾絶(あやたち)の剣』を扱うため、離魂の術を使って若き頃の姿をとった晴明も戦況に加わった状態であったが、晴明達は依然として九尾を倒せずにいた。
多数対一ということもあり、九尾へと傷を負わせることはできる。しかし肝心の致命傷――つまりは晴明の攻撃であるが、その攻撃は悉く防がれていた。

ぎぃいん!

「―――くっ!」


太刀の攻撃を爪によって弾かれた宮毘羅(くびら)は、悔しげに歯噛みした。
一体、何度己の攻撃は弾き、流され、かわされただろうか?
確かに己の攻撃は当たっている。しかしそれを遥かに上回る回数で己の攻撃は当たっていないのだ。
闘将という名が聞いて呆れる・・・・。
心中で皮肉めいた呟きを漏らしつつ、横薙ぎされた銀の尾の攻撃を後ろへと飛んでかわす。

本来の姿である妖の姿へと戻った九尾は強かった。
それはもう、人型である時とは比べ物にならないくらいに・・・・・。
人型の時でも高かった治癒力は更に高いものとなり、操る炎の威力も、そして自由度も明らかに向上していた。
炎はさながら生き物のように宮毘羅達へと襲い掛かってくる。
避けても方向転換して戻ってくるし、打ち消されるまで狙った相手を追い続ける執拗さは厄介の一言に尽きた。そしてそんな攻撃の合間に九尾本体へと攻撃を仕掛けなければならない。

はっきり言おう。
九尾は強すぎた。
末席とはいえ神である相手を複数相手にして尚立っていられるのだ。その強さはもはや異常である。


「宮毘羅、大丈夫ですか・・・・・?」

「因達羅(いんだら)・・・・あぁ、無論だ。こんなところで倒れてなどいられないからな」


そっと声をかけてくる因達羅にちらりと視線を投げつつ、宮毘羅は己の得物を構え直す。
そんな宮毘羅の直ぐ隣に、朱雀が大きく後退してきた。


「くそっ!致命傷が負わせられない!!このままだと持久戦になる・・・・そうなればこちらが不利だ」

「あぁ・・・何せ我らには守らねばならぬ主がいるからな。神将、ここは一つ互いの連携をとることを提案するが・・・どうだろうか?」

「あぁ・・・・こちらも丁度それを提案しようと思ったところだ。具体的にどう動くかも考えている・・・・・やれるか?」


伺うように寄越された金の眼差しに、宮毘羅はにっと口の端を吊り上げて答えた。


「やれるかどうかではない。やるのだろう?」

「はっ!上等!!」


敵の凶悪な攻撃を凌ぎつつ、互いに行う役目について二人は言葉を交し合った。





そんな緊迫した戦闘を、己の配下である夜叉大将に守られながら瑠璃――薬師瑠璃光如来は食い入るように見つめていた。
その手はきつく握り締められて、白く色を失っていた。


「瑠璃様・・・・気持ちはわかるけど、どうか自身を痛めるようなことは止めて・・・・・」


妖の掃討から戻った真達羅(しんだら)は、そっと労わるように瑠璃の硬く握り絞められた拳へと手を添えた。
そんな真達羅の言葉ではっと我に返った瑠璃は、慌てて作っていた握り拳を解いた。
幸い、手のひらから血は出ていなかった。しかし、強く握られていたあまりに深く爪が食い込んだ後が赤々と残っていた。
瑠璃はそんな己の手のひらを見て、気まずげに視線をあらぬ方向へと逸らした。


「ごめんなさい・・・。わかってはいるのだけれど、戦う術のない己が悔しくて・・・・・宮毘羅達はあんなにぼろぼろになるまで戦っているというのに、私はただこうして守られているしかない。晴明殿でさえ、あのように術を駆使して九尾へと立ち向かっているというのに、私はただ剣を渡して傍観するだけ。そんな自分が嫌で仕方ないわ・・・・・・」

「瑠璃様・・・・。瑠璃様の手は多くの衆生を救うためのものです。それは癒しであり、決して相手を傷つけることのない力。そして私達十二夜叉大将はそんな瑠璃様のための剣です。瑠璃様の代わりに、瑠璃様の歩む道を阻むものを排することこそが私達の役目。それを私達は決して不満に思ったりなどしません。瑠璃様には瑠璃様にしかできないことが、そして私達には私達にしかできないことがあります。それをどうか忘れないでください・・・・・」

「真達羅・・・・・えぇ、そうね。無いものねだりをしてはいけないわね。私には私にしかできないこと・・・・皆の傷を癒すという仕事があるのですから」

「そのとおりです!瑠璃様は私達が必ずお守りします。ですから全てが終わった後、どうか皆に瑠璃様のその癒しの力を与えてください」


気をしっかりと持ち直した瑠璃を見て、真達羅はにっこりと笑みを浮かべる。
互いに微笑み合った後、二人は改めて激しく行われている戦闘へと視線を向けた。






「――では、行くぞ!」

「あぁ、わかっている!」


それぞれの役目を分担した神将と夜叉大将達は、その合図と共に各々動き出す。

まず、白虎と太陰がその風を以って九尾の身動きを鈍らせる。


『ぐっ・・・・おのれぇ!このような忌々しい風など―――』

「させるかぁっ!!」


九尾が風によって動きを鈍らされた瞬間、他の神将達と夜叉大将達はそれぞれ九尾の四肢や尾、頭などへ攻撃を加えてその防御の動きを徹底的に潰す。そして九尾が完全に無防備になったところへ、綾絶の剣を構えた晴明がそのがら空きになった懐へと飛び込む。


『く・・・・・ぉの!』

「っ、もらった!!」


唸るだけで碌に防御も取れない九尾の急所へ目掛けて、晴明は綾絶の剣を振り下ろした。
その刃は狙い違わず、九尾の急所へと吸い込まれていき―――――






ぎいぃいいん!!






横合いから割り入った別の刃に防がれた。


「なっ・・・・・・」


驚愕に見開かれた晴明の瞳に、踊る銀糸が映り込んだ。


綾絶の剣を防いだ刃を繰り出したのは・・・・





「ま、さひろ・・・・・・」





それは、紅蓮達の許から姿を消した子ども――煌その人であった。


「九尾に手を出す奴は許さないよ――――――」


そう、例え祖父である貴方だとしてもね――?

凍てついた光を放つ琥珀の瞳が、鋭く晴明の瞳を射抜いた。








それは決して揺らぐことのない意思が篭っていた――――――。











                        

※言い訳
あ〜、久々の更新ですね。長らくお待たせしてしまって申し訳ないです;;気がついたら前回の更新からまた3ヶ月近くも更新してないし・・・・。

九尾、とうとう妖の姿になりました!いやぁ〜、やっぱりラスボスはそれらしくないと。(いえ、人型な九尾さんも好きですけどね!)じい様達は苦戦中です。まぁ、あっさり決着がついたら面白くないですしね。
しかし、大人数対一って・・・セコイなじい様達;;書いてるのは私ですけどね!でも、九尾様最強説を唱えたい私としては、これくらい梃子摺ってもらいたいものです。

紅蓮達の会話は少しややこしい表現になってしまった気が・・・・。つまり、何が言いたいのかと言いますと、例えどんな昌浩(煌を含む)であっても、昌浩を取り返すと決意する紅蓮を書きたかったわけです。だって、紅蓮だったらどんな昌浩でも受け入れてくれそうですしね。そこら辺の温度差(親密度?)を神将三人と夜叉大将達との間で表現してみたのですけど・・・・難しいですね。紅蓮はともかく、勾陳と六合の心情描写がほとんどできなかったことに不満です。・・・・あ、ここの文章を書いていて、紅蓮の昌浩への愛が行き過ぎちゃってる文章を書いてしまったために敢え無く書き直しを致しました。そのNG文は下のほうに載せておきます。読んでやろうじゃないか!というチャレンジャー精神溢れる方はどうぞ読んでください。

で、再び場面は戦闘場面へと戻るわけですが・・・・もう、戦いの描写を書くのに疲れたりしていて・・・・今一、書き足りない感が自分としては残りました。戦闘シーンを書くのって難しいですね;;


感想などお聞かせください→掲示板

2008/6/4





*NGシーン





「――だから『煌』という一つの人格が成立してしまっている今、ただ記憶を思い出しただけではあいつが俺達の所に戻ってくることはないということだ・・・・・・・」

「・・・なら、一体どうするっていうんや?記憶が戻っても昌浩は返って来ぃひん。せやかて煌っちゅう人格を消すなんて無理な話やし・・・・・・」

「だから何だって言うんだ?」

「―――え?」


思いの他そっけなく帰ってきた言葉に、夜叉大将の面々は怪訝な表情を浮かべる。
そんな夜叉大将達に、紅蓮は若干苛立ちの篭った言葉を向ける。


「昌浩は昌浩だ。それが例え『煌』という人格であったとしても・・・・あいつが昌浩であることに代わりはない。俺はそれで十分だと思っている・・・・・」


己を剣で貫き、そして琥珀の瞳に僅かに動揺を浮かべた子ども。
記憶を「いらない」とまるで狂ったかのように叫び続けた子ども。
あの、悲しみに歪められた瞳が忘れられない。
どんなに性格が異なろうとも、その根幹は変わらない子どもに気づいた。

だから、もう迷いはしない。


「あいつを・・・・昌浩を、取り戻す!」


俺に、夜明けを齎してくれたのは、あの子どもただ一人なのだから・・・・・・・。







・・・・・・・。とまぁ、どう見ても紅蓮×昌浩(むしろ紅→昌?)な文にしか見えなかったので、敢え無く却下しました;;ここまでお付き合いくださってありがとうございます。いや、ほんとに!